私の工房は山に囲まれた所にあります。
側を流れる川は源流に近く
小さな谷間です。
川がゆっくりと曲がり
その谷が少し開けているので
ぽっかりと空が見えて
日当たりも少しだけいいのが嬉しいです。
朝、夜が明けても
お日様が出るのはゆっくりです。
夕方、山の向こうに陽が落ちても
暗くなるまでは
ずいぶん時間が残っています。
私は、この地の
薄暮のときがとても好きです。
窓辺の椅子に座って
暗くなるまで
ぼんやりと過ごすことが多いです。
外での作業を終えて
木の粉だらけの体をお風呂に沈め
質素な夕食を食べてからも
まだまだ
暮れゆくときに浸っていられます。
いよいよ光が薄れ
鳥の鳴き声も聞こえてこなくなると
粒子が粗くなったような
森の空気の中
川のせせらぐ音だけが残ります。
暗くなってようやく
明かりを灯し
カーテンを閉めて
ラジオをつけると
なんだか
現実の世界に戻ってきた感じ。
夕暮れは
ものを考えるのに
とてもいい気がします。